七五三の着物と千歳飴の小話

七五三の着物と千歳飴の小話

子供の成長や長寿を願う行事である「七五三」は、通常3歳、5歳、7歳の子供たちが主役になります。しかし、この行事について、なぜこの年齢なのか、由来や意味についてはあまり知られていないかもしれません。そこで、ここでは「七五三」にまつわるエピソードをご紹介します。まずは、七五三の代表的なお菓子である千歳飴についてです。

七五三といえば千歳飴。これの意味は?

七五三のお祝いには、千歳飴をもらって写真を撮るのが一般的ですが、なぜ千歳飴が七五三に欠かせないのでしょうか。千歳飴という言葉は、「千年」「長い年月」という意味を持っており、その細長い形や引っ張ると長く伸ばすことができる性質から「細く長く・長寿」という願いが込められています。

七五三は、子どもたちが健康で長寿に生きることを願う行事であるため、千歳飴が贈られるようになったのです。

一般的には、縁起の良い紅白の飴をセットで包装して贈られますが、現在では様々なデザインの千歳飴が販売されています。長さの決まりとしては、1メートル以内・直径は1.5センチメートル以内となっています。

千歳飴の絵柄の意味は?

千歳飴が入っている紙袋には、実は意味が込められています。千歳飴の袋に書かれているものは、「松竹梅」「鶴亀」といった縁起物になります。

「松竹梅」

寒い冬の季節でも枯れることなく緑や花が楽しめるため生命力の強い植物として尊ばれてきました。それぞれに、長寿・子孫繁栄・生命力の強さを表すものとされています。

「鶴亀」

「鶴は千年、亀は万年」と言われるように、長寿を象徴する吉祥の動物とされています。千歳飴には、飴だけではなく、袋にまで子供の成長や幸せを祈る気持ちが込められています。

次に、七五三の着物の柄の種類や意味についてまとめていきます。

女の子の着物の柄について

七五三の際に女の子が着る着物は、縁起の良い柄が好まれます。例えば、「松竹梅」、「四君子」(蘭・竹・菊・梅を組み合わせた模様)、「貝桶」、「檜扇」など、長寿や富、邪気払いなどの意味が込められた植物や動物、宮中で貴族が用いていた道具などが描かれています。

特によく見られる柄としては、花の柄が挙げられます。日本を代表する桜をはじめとする梅、橘、牡丹などがあり、美しく花のような女性に育ってほしいという願いが込められています。また、手毬の模様は、平安時代の貴族の遊びであった蹴鞠から来ており、高貴さを表しています。毬の丸井形からは、「何事も丸く収まりますように」「丸々と健康に育ちますように」という願いが込められています。

貝桶には、貝合わせの遊びで使われた貝殻を収納する容器のことを指し、嫁入り道具や夫婦円満の象徴としても有名です。七五三だけでなく、その他の慶事用の着物としても人気があります。

七五三のお祝いでは、女の子の着物選びが大切です。色で決めることもありますが、たくさんの柄もあるため、子供にどんな柄が何を表しているのか説明しながら選ぶと、思い出深い七五三になるでしょう。

男の子の着物について

男の子の着物には、「宝尽くし」と呼ばれる縁起の良い宝石柄や、「亀甲」と呼ばれる亀の甲羅に似た柄、武将の勇ましい姿を描いた兜や軍配、矢羽根などの勇ましい道具が人気です。これらの柄には、「邪気や災いから守ってほしい」「強くたくましく育ってほしい」「困難にも立ち向かい飛び越えてほしい」という親の願いが込められています。

例えば、兜の柄は頭を守る重要な道具であることから、「邪気や災いから守れますように」という願いが込められ、また大成を願う意味も込められています。鷹の柄は、遠くまで見渡せる目を持ち、本質を見抜く・先を見通す眼力を表し、「本質を見極め、着実に幸せをつかんでほしい」という願いが込められています。また、打ち出の小槌の柄は、「人生において物やお金に困らない生活をしてほしい」という願いが込められています。兜や鷹のように背面にメインで描かれるのではなく、袖や裾に描かれることが多いです。

男の子の着物には、強さやたくましさ、将来お金に困らないようにという願いが込められている柄が多く、男らしさを表しています。女の子と男の子では、絵柄が異なり、込められた思いも違っていることがわかります。七五三の着物選びでは、夫婦で話し合ったり、子どもと話し合ったりして、将来どのように成長してほしいかを考えて柄を選ぶと、思い出に残る素敵な体験になるでしょう。

七五三は、満年齢?数え?

七五三は、子どもが満三歳、満五歳、満七歳の時にお祝いをすることが一般的ですが、数え年でお祝いをするかどうかについて悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。この点についても、以下でまとめていきます。

昔は数え年でお祝いをすることが一般的であったため、七五三と言っても二歳の子どもがお祝いをすることもありました。しかし現在では、どちらでお祝いをするかに決まりはなく、家庭に合わせて選びやすい方法を選ぶことが一般的です。

その理由は、現在は神社でのご祈祷後に写真撮影や家族での食事など、行事を行うことが多いからです。そのため、まだ幼い二歳の子どもだと、写真撮影の際に疲れてぐずってしまったり、親も大変になってしまうことがあります。

まとめ

七五三という行事は、日本に古くから伝わる文化の一つであり、子どもの成長を祝い、健康や幸福を願う特別な日です。しかし、時代の変化に伴い、これまでの形式に縛られることなく、家族全員が楽しめるような新しいアプローチを取ることも求められています。

このような柔軟な考え方を持つことで、例えば、神社でのご祈祷や写真撮影だけでなく、家族旅行やお出かけをすることも可能になります。また、着物や祝い菓子を手作りすることで、家族の絆を深めることもできます。

七五三は、日本の文化を象徴する素晴らしい行事ですが、現代の家庭においても、楽しみながら続けられるように、柔軟な発想で取り組むことが大切です。