七五三の祈祷料の渡し方は?のし袋の選び方と書き方を解説

七五三の祈祷料の渡し方は?のし袋の選び方と書き方を解説

封筒に「御初穂料」

子どもが3歳を迎える頃になると、周りからはそろそろ七五三ですね、なんて声を掛けられる機会も増えてきますよね。初めてのことなので戸惑うお母さんも多いかもしれませんが、子どもにとっては一生に一度のことなので、できれば七五三はきちんと行いたいものです。

七五三では神社で祈祷や記念撮影をするのが一般的です。昨今では、お参り前や後に、写真スタジオやフォトスタジオで前撮りや後撮りサービスを選び、お参りの日と別々に撮影をする人も増えてきています。

特にお参りの際の神社に関する言葉は初めて耳にするものも多く、やや難しく感じるかもしれませんね。この記事ではその中でも難しいと言われることの多い「祈祷料」について解説していきます。

「祈祷料」とは、簡単に言うと神社などにご祈祷をお願いする際にお支払いするもの。「初穂料」や「玉串料」と呼ばれることもあります。金額はあらかじめ決められていることがほとんどで、のし袋の種類や書き方についてもある程度作法は決められており、そうした面さえ押さえておけばそれほど難しいものではありません。以下から詳しく解説していきましょう。

「祈祷料」「初穂料」「玉串料」それぞれの意味

一般的に、神社でご祈祷をお願いする際にお渡しするものは総じて「祈祷料」と呼ばれます。そして「初穂料」とは、「祈祷料」の別の呼び方のひとつです。昔、神社では神様にお祈りを捧げる際に、その年に初めて獲れたお米や穀物を奉納しました。これを「初穂」といい、それが時代を経てお金を納める形へと変化していきました。その名残りから現在でも「祈祷料」のことを「初穂料」と呼ぶ習わしがあります。

「玉串」は紙や糸でできた飾りを榊などの木の枝に結びつけた捧げ物のことで、「初穂」と同様に神事の際に捧げられていました。玉串は、神々や自然界の精霊、祖先を敬うための手段であり、その存在は神木に宿ると信じられていました。

伝統的には、酒、塩、布、食べ物、紙飾りを木に供えてました。それがいつしかお金に変わり、「玉串料」と呼ばれるようになった。現在、玉串料は結婚式などの正式な神事の際に、神職が木に酒を注ぎ、お祓いをすることで行われるのが一般的です。

また、玉串には家紋が印刷され、守護と長寿を意味する。玉串は、自然や祖先の霊とつながり、日本の文化や精神性に敬意を表する意義深いものでもあるのです。

「初穂料」と「玉串料」の使い分け

どちらも現在では「祈祷料」を意味するもので、同じ場面で使われることも多いですが、行事によっては片方しか使えないこともあります。たとえば「初穂料」はおめでたいことや御守りの代金として使われることが主で、「神葬祭」と呼ばれる神道式のお葬式には不向きです。一方の「玉串料」は「神葬祭」含め、ほとんどの行事で使うことができますが、御守りの代金としてはあまり使われません。

なお、七五三をお寺で行う場合には、これらはすべて「お布施」か「祈祷料」です。逆に神社では「お布施」という言葉は使われません。

祈祷料の相場は?

基本的には神社によって異なるとされていますが、近年では統一されていく傾向にあり、一般的な神社では五千円から一万円程度とされています。最近でははじめから料金設定を明示している神社も多く、特に「五千円~」としているところが多いようです。

ただし神社の大きさや考え方などによっても異なり、特に大きい神社では記念品などによって段階別に分かれた金額表などを提示しているところもあります。ちなみにこの金額による違いは記念品や行事に参加できる人数などの違いによるもので、金額によってご祈祷の内容やご利益が変わるということはありません。また、兄弟で合わせてお願いする場合には、セットで割引きになる神社もあります。

もしも検討している神社の祈祷料がわからない、またはもっと少し詳しく知りたいといった場合には、電話などで直接問い合わせてみるのも一つの方法です。こうした問い合わせは失礼にはあたらず、ほとんどの神社では快く答えてもらえるはずです。

なお問い合わせの際には「参拝」と「ご祈祷」を間違えないようにしましょう。「ご祈祷」は社殿に上がるなどして神主さんに行ってもらうもので、「参拝」は普段神社を尋ねるのと同じく、お賽銭を入れて祈願をすることにあたります。七五三の場合には「ご祈祷」になります。

七五三に使う「のし袋」

神社に祈祷料を納める際には、「のし袋」に入れて渡すのが通常です。七五三では、色が紅白で水引きが「蝶結び(花結び)」のものを使用します。「水引き」とは、のし袋を結んでいる飾り紐のことで、「蝶結び(花結び)」は何度も結びなおせることから、何度もお祝いしたいおめでたい事という意味が込められています。
そのため、何度もあっては困るような結婚式には使用しません。

水引きには他に「結切り」「鮑結び」といった種類があり、「結切り」は固く結ばれてほどけにくいことからお見舞いや結婚式、お葬式など二度とあって欲しくはない行事に使われます。逆に複数繰り返す七五三には使われません。

「鮑結び」は結び目が重なる複雑な結びであるため、簡単にほどけないという意味で長寿のお祝いや新築のお祝い、結婚式やお葬式などにも用いられます。こちらも「結切り」と同様、七五三にはあまり使われませんが、関西方面ではお祝い事全般に使われているため、七五三にも使われることがあります。

のし袋は印刷でも問題ない?

のし袋はきちんと水引きで結ばれたものが良いとする意見もありますが、基本的には七五三のような行事においては印刷されたのし袋でも問題ありません。また、神社によっては白封筒と指定されていることもあり、この場合には印刷物の一切ない真っ白な封筒を用います。

のし袋の書き方

手にしてみるとわかりますが、のし袋は外袋と中袋の二つに分かれています。まずは外袋の書き方から解説しましょう。のし袋には、墨書きか筆ペンを用いるのが一般的ですが、用意できない場合には通常のサインペンなどでも代用が可能です。サインペンの場合でも色は黒を選びましょう。外袋の表書きは、水引きの上方に「初穂料」または「御初穂料」と書きます。

先にも述べたように「玉串料」などでも可能ですが、現在の七五三では「初穂料」とするのが一般的です。そして下方に子供の氏名を書きます。兄弟で一緒になる場合には一番上の子をフルネームで書き、続けて左側に下の子たちの名だけを並べて書きます。

中袋は表の中心に金額を大きく書き、裏には住所と名前を書き入れます。金額は「金 伍仟円」「金 壱萬円」といった風に、古くから使われてきた「大字(だいじ)」で書くのがマナーとされています。理由には諸説がありますが、たとえば「一、二」といった現在使われている漢数字で書くと、後から書き加えて金額を変えることもできてしまうためとも言われています。

ただしこれは厳密な決まりではないので、もしも書きづらかったり、重すぎると感じた場合には「一、二」でも構いません。なお、お寺で七五三をお願いする場合には表書きは「初穂料」ではなく、「お布施」か「御祈祷料」になります。それ以外の書き方については同じです。

お札について

のし袋に入れるお札には、新札を用意します。神様に納めるお金なので、結婚式などのお祝い事と同じように、きれいなものを使いましょう。新札は銀行で両替の際に希望するともらうことができます。銀行によってはATMで交換することも可能です。

また郵便局では基本的に両替は行っていないので、お願いできる場合もありますが、基本的には避けたほうがよいでしょう。お札を入れる向きは表面を上に、つまり表側から開けてお札を取り出した際に肖像画が最初に見えるのが正解です。

祈祷料を渡すのはいつがいい?

こうして用意した祈祷料は、原則的には神社で申し込みをした時に渡すことになります。申し込みの際に既定の用紙に必要事項を書き込んで提出するので、その時に一緒に渡します。

受け付け場所は神社によって異なるので、わからない場合には問い合わせするなどしてあらかじめ確かめておくのがよいでしょう。七五三の最盛期には混雑を避けるため専用の受け付けが設置されることもあります。

また、のし袋はそのまま直には持たず、「ふくさ」に包んで持ち歩くのがマナーです。申し込み用紙を渡す際にふくさを取り出し、ふくさからのし袋を出して申し込み用紙と一緒に手渡します。ふくさは100円ショップなどでも売っているので、今後も冠婚葬祭などで使うことを考えればこれを機会に買っておくと良いでしょう。

まとめ

祈祷料は「初穂料」「玉串料」とも呼ばれ、七五三では基本的に「初穂料」が用いられます。金額は五千円から一万円ほどが相場ですが、神社によっては異なる場合もあるので、心配な方は電話などで問い合わせてみましょう。

のし袋は紅白で「蝶結び(花結び)」のものを使い、お札は新しくきれいなものを用意します。渡すタイミングは申し込みの時で、のし袋はふくさに入れて持ち歩きましょう。
急に準備することになると表書きなども含めて慌ただしくなってしまうので、できれば事前に余裕をもって準備することが大切です。子どもにとっても親にとっても大切な日となる七五三。準備万端にして落ち着いて迎えられるようにしておきたいですね。